大公は王女を戦利品として抱く

作品概要

作者:アラベシ
タイトル:大公は王女を戦利品として抱く
ジャンル:ファンタジーロマンス

作品紹介

「離婚、したいと思います」

五年の戦争。そして敗戦。

王女の王国は五年間の戦争の末に敗北した国だった。
無能で愚かな王は自分の国を負かした敵国の総司令官に王女を捧げた。

戦利品として差し出された王女は優しくて美しい彼を愛するようになり、冷静な総司令官は戦利品を愛しなかった。

「離婚したいです」

王女は自分の要請に彼が軽く承諾するだろうと思った。しかし、

「貴女こそ、離婚すればどこへ行くつもりですか」
「……。」
「貴女を虐待して軽蔑する無能な王と貴女に汚い欲望を向けている兄のもとに戻りますか」

低い声が耳元に届いた。初めて聞く低くて冷たい声に思わず目を見開いた。

「それとも、貴女が心から愛したという元婚約者のところに行くおつもりか」
「……」

身体が固まった。彼がなぜいきなり腹違いの兄妹や親友のことを言い出すのか解らなかった。

「それも違うなら、身のほども知らずに私の前で貴女を愛していると告白し、貴女を解放してほしいと言ってきたブラッドン伯爵のところ行くつもりか」

王女を強引に自分のほうへ向かわせた男が歯を見せて笑った。

「私が、俺が貴女を手に入れるために何をしたか分かるなら……。」

王女は笑っていながらも狂気に満ちているかのような男の目と顔を呆然と見つめた。

「貴女は死んでも、生きても俺から離れられない」

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